【連載】第9話|もう一件、届いた
スマホに通知が来ていた。
開く前に、少しだけ間があった。
最近は、来ない時間のほうが長かったからだと思う。
画面を開くと、紹介フォームからだった。
新しい一件が届いていた。
少し前に、最初の紹介が来た。
まだ会えてはいないけれど、その一件は確かに、しがのを動かした。
そこから少し時間があって、また一件。
続いているわけではない。
一気に増えたわけでもない。
でも、止まってはいなかった。
おざさは、その感じがしっくりきた。
紹介は、まとめて来るものでもないし、
何かのきっかけで急に増えるものでもない。
たぶん、一件ずつ届く。
誰かが思い出して、
「ここ行ってみて」と思って、
少し迷って、それでも送ってくれたものが、一件。
だから、それぞれに時間がある。
前に届いた最初の一件は、まだ途中にある。
今回の一件も、これからどうなるかはまだわからない。
すぐに会えるかもしれないし、
少し時間がかかるかもしれない。
返事が来ないこともあるかもしれない。
でも、それでいいと思った。
しがのは、全部を一度に進める場所ではない。
来た順に、無理のない形で、
一件ずつ受け取っていく場所だ。
おざさは、少しだけ考えた。
最初の一件を優先したほうがいいのか。
新しく来た一件にすぐ動いたほうがいいのか。
どちらも間違いではない気がした。
でも、急いで順番を決める必要もないと思った。
しがのは、きっちり並べる場所ではなくて、
少しずつ重なっていく場所のほうがいい。
前の一件があって、
今回の一件があって、
そのあいだに時間があって。
その全部が、そのまま残っていく。
おざさは、スマホを閉じた。
やることは、変わらない。
紹介されたら行く。
そのために、少しだけ連絡をして、
日程を合わせて、
行けるタイミングで行く。
それだけだ。
でも、ひとつだけ変わったことがある。
一件だけじゃなくなった。
それは、ほんの少しだけ、景色を変えた。
まだ静かだけど、
前よりも、続いている感じがある。
しがのは、そういう速度で進んでいる。
もし、あなたの中にも
「ここ行ってみて」があれば。
その一件を、置いていってください。
一件ずつ、重なっていく。
しがのは、今日もそのくらいの感じで続いている。
この記事を読んだ方へ
滋賀で 「この人に会ってみて」 と思い浮かぶ人がいれば、教えてください。
店主さん、職人さん、作家さん、地域で活動している人など。 名前がはっきり分からなくても大丈夫です。 紹介されたら、実際に会いに行き、 その人の仕事・店・活動・場所を写真と文章で残します。 紹介されたら、実際に会いに行って、訪問後7日以内に記事にします。
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